高速道路で多重衝突事故が多発している。私も、というよりも私の乗っていた車がその事故を起こす引き金を引いたかもしれない。テレビのニュースを見れば高速道路での多重事故が多発している。その報道を見るたびに死の恐怖で私の全身が凍りつく。
その車はまだ堂々とショールームに飾ってある。その前を通るたびに怒りが込み上げてくる。
「かわいい!久しぶりに車が欲しくなった」
いろいろ苦労や心配を賭けた妻が強く興味を示した車であった。私の心を示したくてプレゼントした。
「変な止り方をした、怖かった」
妻が何回か乗ったときそう言ったきり乗らなくなった。埃を飛ばすつもりで私が釣りに乗って行った。その帰りであった。
中央高速道路の混雑が上野原を過ぎた辺りでとけて走り出したときであった。車のエンジンが止ったまま動かなくなった。
何とか、ガクンガクンと動いて側道まで行く間、何台かの車が気づかってくれたから事故は免れたが、大きなトラックがもうちょっとで激突、当然私は死にさらに多くの車が巻き込まれていたはずだ。赤色発煙筒をたいて道路を空しく見ていれば何もなかったように大量の車が通り過ぎていく。救援のレスキューが来るまで1時間以上私は孤独と恐怖におびえながら排気と埃まみれの味も素っ気もない高速道路脇に立っていた。
レスキューの男は、コンピューターを初期化するマニュアルを見ながらエンジンを再起動させた。
「このタイプには時々起こるのです」
こんな車が平気で売られている!
同様の事故が起こっているかもしれない!
「リコールしてくれ!」
私の怒りは聞いてもらえなかった。おまけに車を引き取るのにも結構金を取られた。弁護士を雇うほどの大事件ではない、が、そうなっていたかもしれない。
その車はそしらぬ顔をしてショールームに並んでいる。
前を通るたびに私はゾクッとする。心が凍りつく。ニュースで高速事故が報道されるたびに体も心も痛くなる。
半年以上たっても癒えない傷を誰にぶつければいいのか!!









